武田昭彦は自身の彫刻技法を、単なる素材の変形を超えたところにまでもっていきます。人、とくに女性を制作の中心に置きながら、段階的にフォルムを単純化することを通して、人間の魂の本質を掴もうとします。
武田は石膏に鉱物成分を加えることを選択しました。これによって表面に均質性と光沢が生まれます。この手法は、通常の彼の探究のみならず、完成作品のイメージをも映し出しています。彼の作品には、通常彫刻の内部から支える骨組が存在しません。このことによって作品は極めて繊細なものとなりました。
本質的なフォルムと滑らかな表面が示しているのは、この芸術家の細部への注意と年月とともに進化してきた創造過程に対する尊重です。