武田昭彦の各作品に秘められているのは、日本の伝統と西洋の影響下にある意識であり、弛まぬ探求であり創造的感性です。
武田の道のりは技術の習得から始まり、それは長年にわたる研究と実践を経て確立されました。彼の作品は、主に金属、石膏、粘土などの材料を用いたものを中心に構成され、様々なの加工技術や特性を理解し、その限界を超えるための実験が重ねられ、新たな手法が探求されています。
薄いシート状に加工された金属から新しい形(フォルム )が生みだされ、鍛造や鋳造によって貴重な宝飾品になります。石膏においては、よりいっそう本格的なボリューム感と滑らかさを呈し、粘土においては様々な焼成法が使用され、テラコッタや陶器の作品が生み出されています。特に、後半、武田は陶器線刻手法「陶器の切り込み」に特別な関心を寄せ、さらに、異なる素材の組み合わせから生まれる混合素材作品によって、その表現は頂点に達すると言っても過言ではないでしょう。